Blog:Neutron Star

tma1のブログ 「試行錯誤」・・・私の好きな言葉です

DPF-7002 MEMO 4


独学のためのメモですので読み飛ばしてください(^^;)

S/N比


やっぱり応答特性の悪いオペアンプは特にオーバーサンプリングDACのI/V変換には不適だと思います。たとえ高精度クロックを使っていても、セトリングタイムとスルーレートが不十分だとLPFでパルス成分が除去される前の段階で誤差を含んでしまうんでしょう。


OPA2134PAですが、今の構成で交換するなら当然I/V変換部ですが、AD823ANと比べるとセトリングタイム、スルーレート共に劣ります。以前に挙げた表でみてもノイズだけOPA2134がAD823ANの半分となってます。



セトリングタイム スルーレート オーディオバンド・ノイズ
OPA627 550ns 55V/μs※ 10nV
OPA2604 1.5μs 25V/μs 15nV
OPA2134 0.7μs 20V/μs 8nV※
AD823 350ns※ 22V/μs 16nV


ただ、セトリングタイム、スルーレートというのは一定数値以上なら良いのだと思うのでOPA2134PAはその辺はクリアしていると思います。(計算式などはhttp://d.hatena.ne.jp/tma1/20070108#p2


ノイズの方はDACS/N比は110-120dBですが、バラつきや実装による劣化が避けられないとのことでDPF-7002のDACパラレル接続はその劣化を数dB軽減する工夫です。


「Super HiFi DAC Boardの設計(EVM-1702の技術解説)」(http://www.tij.co.jp/jsc/psheets/SBAA061.pdf)にその理屈が書かれていますが



S(total) = S(1) + S(2) + … S(n)
N(total) = √N(1)2 + N(2)2 + … N(n)2
THD(total)*= √THD(1)2 + THD(2)2 + … THD(n)2


のようにパラレルDACの信号Sの合成が単純に加算であるのに対してノイズNや歪みTHDの方は2乗を加算したものの平方根を取るのでSの方が大きくなりやすく従ってS/N比は向上するという理屈らしいです。


そしてI/V変換に採用するオペアンプのノイズは極力小さいものが良いそうですが120dBのS/N比を実現するためには10nV/√Hzなら十分とのこと。OPA2134は8nV/√Hzなので合格です。



I/V変換雑音モデル(オペアンプの出力雑音電圧密度)

Vn out= 1+RF/RS√In^2 (RS // RF)^2 +Vn^2

Vn : オプアンプの入力雑音電圧
In : オプアンプの入力雑音電流
RS : PCM1702出力インピーダンス(約1kΩ)
RF : オペアンプの帰還抵抗

クロック


「Super HiFi DAC Boardの設計(EVM-1702の技術解説)」(http://www.tij.co.jp/jsc/psheets/SBAA061.pdf)も何度か読み返すうちに色々と意味が分かってきて、オペアンプの組み合わせの方は解決してきましたが・・・そうすると次の課題がクロックだということが見えてきてます。


ちなみにDPF-7002改では同じ44.1kHz 16bitの光デジタル出力でもONKYO SE-200PCIの方がSONY CDP-555ESJより良いことがはっきり分かるわけですが、ひょっとしてI/V変換にオペアンプを使用しているDACやアンプでセトリングタイムやスルーレートの性能の低いオペアンプの場合は違いが分からない可能性もあるかな・・・と思います。


現在のDPF-7002改を見ると、ONKYO SE-200PCIから光デジタルケーブルで受けているS/PDIF入力からDAIレシーバーのTC9245で基準サンプリングクロックを抽出してfs=44.1kHzの場合、BCK(32fs=1.4112MHz)、LRCK(44.1kHz)、FS384(384fs=16.9344MHz)などとして出力されてデジタルフィルターSM5843に渡されます。デジタルフィルターからDACのPCM1702へはBCKO、WCKOがそれぞれCLOCK、LE(ラッチイネーブル)として入力されます。


TC9245
(DAIレシーバー)
SM5843
(デジタルフィルター)
PCM1702
DAC
BCKBCKI - BCKOCLOCK
LRCKLRCI - WCKOLE