Blog:Neutron Star

tma1のブログ 「試行錯誤」・・・私の好きな言葉です

戯言「ペットボトルエコクーラーに関する妄想あるいは考察」

こんなこといいな、あったらいいな、と思えるのがペットボトルで作れるとされているクーラーです。ローテク大好きなんですよねぇ。

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素晴らしい・・・本当だったら、素晴らしい・・・

ただ、本当にクーラーとして使われているのか私には疑問なので「ペットボトルエコクーラー(仮)」と呼称します。

原理について

エコクーラーには、熱い食べ物を冷ます時に口をすぼめてフーフーやるのと同じ原理が使われている。

口を大きく開けたまま、自分の手にハーッと息を吹きかけると、熱く感じるだろう。ところが、口をすぼめてフーッとやると、冷たく感じる。空気が狭い場所を通り抜けた際、気圧が変わって温度が下がるからだ。

エコクーラーに取り付けられたペットボトルの首部分にも同じことが起こり、室内に吹き込む風の温度が下がる。

まず、この説明は間違ってると思いますね。ハーとやるよりフーとやる方が冷たく感じるのは確かだけど、呼気の温度が下がってるわけじゃないですね。

フーとやって変わるのは温度ではなくて単位時間あたりに物の表面に当たる空気の量です。ハーとやるよりフーとやる方が短時間でより多くの空気によって物の表面の熱量がより多く奪われるのでその部分の温度が下がり、皮膚であれば冷点が刺激されて冷たいと感じるのです。

これはクーラーと言うより扇風機の原理で、弱回転より強回転にする方が涼しく感じるのと同じ。強回転の方が短時間でより多くの空気によって体表面の熱量がより多く奪われるのでより涼しく感じるのです。

さらに真夏など暑いときに扇風機を使う場合は発汗で湿った体表面の水分を蒸発させて気化熱によって下げる効果も加わります。

何かを解説している図

この画像は、左をハーとした場合、右をフーとした場合の解説のようで見たところ呼気はどちらも36℃(赤)。それを左は直径4cmの開口部から風速0.027m/sで3cm幅の空間に満たされた10℃の空気に向かって流入させているように私には見えます。

右は直径0.6cmの開口部から風速1.2m/sで3cm幅の空間に満たされた10℃の空気(青)に向かって流入させているように私には見えます。

サーモグラフィーのような青や赤の図は流入した空気の流れと気圧の変化もしくは温度の変化を表しているように見えます。

この画像で見る限りでも流入している空気は左右どちらも赤で示され、おそらく36℃のままです。どこにも流入した呼気が10℃低下している様子は見られません。それに、実際に作られた「ペットボトルエコクーラー(仮)」と構造が違う。ペットボトルはパネルを貫通しており、空気は3cm幅の空間に滞留するものではないですし、どう見ても温度が下がる原理の解説にはなってないし。

そもそもこの形状で気圧の差により温度変化が生じるとすれば、断熱圧縮により一時的にせよ温度が上昇してしまうと思われます。高圧であればの話ですが、断熱圧縮の後、一気に膨張させると断熱膨張で温度が下がります。これはクーラーで使われている原理ですが・・・自然に吹く風とこの「ペットボトルエコクーラー(仮)」の構造でマイナス10℃を実現できるものではありません。

バングラデシュではなぜ室温が下がったのか

実際に室温が下がったという前提で考えますが、まずこのペットボトルエコクーラー(仮)を設置する画像で見ると、元は細い板を沢山組んだ窓がトタンの波板のような断熱材もない壁面にあり、それをペットボトルエコクーラー(仮)に換えようとしています。

ペットボトルエコクーラー(仮)を設置中の映像

この窓のようなもので元の風通しがどうだったか分かりませんが、ペットボトルを切断してはめ込んでいるにせよ風通しが若干良くなったかも知れません。

しかし、これだけでは45℃->35℃にはなりません。私はこれを否定せず、どうやったら下がるのか考えました。

室温が45℃だったというのは、断熱材もないブリキやトタン板でできた壁に直射日光が当たっていたせいかも知れません。なので、壁に当たる直射日光を遮ってやれば室温は間違いなく低下します。

実際は壁面全体を別の板で覆ったのではないでしょうか?あるいはペットボトルエコクーラー(仮)を壁面全体に設置したと。空気も優秀な断熱材なので板の室内側とペットボトルの首部分の2-3cmの空間があれば直射日光を遮り、風があればパネルと建物の壁の間が換気されてうまくすれば気温程度には下がるのではないでしょうか?

つまり、直射日光で壁が熱せられて内側の室温が45℃まで上がっていたのが、上記の工夫によって気温35℃まで下がったのではないか?と。

それなら、葦簀など使えばいいではないかと日本人なら思うところですが、もしかしたらこのペットボトルの形状は、不快害虫、特に這う害虫や蛇やトカゲなど爬虫類、それとネズミの侵入を防ぐための「ネズミ返し」の役割があるのではないでしょうか?

室内の様子

結論

この人たちにとって必要だったのは葦簀、網戸とブラインドもしくは簾、鎧戸などだと思います。

それを不要なペットボトルと板で自作したものが、室温の低下を生じさせたのでエコクーラーと理解され、例の謎理論が後付されて動画として流布しているのではないでしょうか?

ネット上に流布している動画に付けられた説明はデタラメなものが多いので、オリジナルと確信できないような場合は私は鵜呑みにしません。

まあ、今回の私自身の妄想あるいは考察もデタラメの一種です(^^;)信じるか信じないかは・・・あなた次第、ですw

(デタラメというのはこの動画で言われていること、例えば「バングラデシュでは気温が45℃になる」、「30℃の気温が部屋の中では25℃に下がる」や、映像で見られるように「窓にだけ取り付けているように見える」を完全に無視しているからです)


日本でも実際に作って検証されている動画をYoutubeに挙げている方がいます。
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結果は・・・残念ながら、いずれも風通しが悪くなって逆に暑くなる・・・でした。

私が成功している例を見つけられないだけかも知れません。また、もしかしたら、日本とバングラデシュの気候の湿度の違いが影響する可能性もなくは無いかなと思いますが・・・私の結論は上記のように、直射日光を遮って風通しを改善したことによって非常に高温だった室温が実際に下がったのではないか?外気温に近づいたのではないか?というものです。

元が非常に劣悪な環境だったという前提があっての話ですが(^^;)