Blog:Neutron Star

tma1のブログ 「試行錯誤」・・・私の好きな言葉です

劣化ウランと残留放射線


最近、NHKヒロシマ関連と劣化ウラン弾関連のドキュメンタリーを見ました。


まず、アメリカの核攻撃による放射能被爆の見積もり?が実際よりも甘かったという話。原子爆弾の爆発直後、爆心地に救助作業などで立ち入った人たちの放射線被爆について、地上に残った塵埃が体に付着したり呼吸器に入ったり・・・で、実際は多くの人が大量に放射能の暴露下にあり、あとで後遺症が出たのが「驚きだ」と研究者がコメントしてましたが・・・私はむしろそんな単純なことが日本ではまだ常識ではなかったことが「驚き」でした。


少し前にチェルノブイリ放射線シールドの耐久性が落ちてきていて再度建物全体を覆わなくてはならないという話題があって、その作業は防護服を着ていても15分が限度。作業後は防護服の上から中和剤のシャワーを浴びてホコリ、チリ、土など一切を流し落とす・・・なんてことが当たり前のように思っていたので、放射能被爆の専門家がいまごろそんなことを言っている方が驚きです。


また、放射線を浴びて遺伝子レベルで傷ついた細胞から何らかのシグナルのようなものが出て周囲の細胞にまで異常が起きるというのは・・・これは素直に驚きました。


次に劣化ウラン弾についていまだにアメリカが危険性を認めないことについて・・・2年くらい前にテレビ朝日の「ザ・スクープ」の特別編で従軍していて体に異常が起きた兵士の軍との係争、イラクで拾った劣化ウラン弾の使用済み弾等を見せたジャーナリストに対する現地に駐留していた米軍兵士の反応(そんなもの持ち歩くな「お前、バカか!」という感じ)というのは良く覚えていました。兵士向けに警告のマニュアルやビデオを作ったけど米軍に採用されなかったというオッサンもいまだ健在でした(^^;)


劣化ウラン弾は命中したときの貫通力も抜群ですが、大量の塵が燃えながら拡散することで装甲車両の中の乗員を殺傷する能力に優れています。今回のNHKの番組の焦点のひとつがこの塵が拡散する範囲と塵による二次被爆の危険性の評価です。米軍の公式見解では塵は重いので半径数十mという比較的狭い範囲に拡散するものの重さゆえに地上にとどまり風によって舞い上がってさらに広がるようなことは無い・・・と都合の良いことずくめなことを言っていますが、劣化ウラン弾の開発時のデータでは数百mの範囲で観測されていたらしいです。ということは一度地上に堆積した塵埃も動かないというのは単なる希望的観測に過ぎず、放射能を撒き散らしつつ広がり続けることが予想されます。


放射能廃棄物を再利用できるというのは政治的にもコスト的にも魅力があり、兵器としての能力も高いせいで、アメリカでは軍・官共に当分の間劣化ウラン弾の使用を擁護し続けるでしょう。さらにアメリカだけでなく世界各国でも生産と使用が続けられる見込みのようです。何とも厄介な話です。