Blog:Neutron Star

tma1のブログ 「試行錯誤」・・・私の好きな言葉です

読書「戦争の世界史 技術と軍隊と社会」ウィリアム・H・マクニール 更新:20230813 不正確な記述を訂正しました

チマチマと読んでいて、まだ途中なんですが・・・

上巻では、第四章「ヨーロッパの戦争のアートの進歩 1600-1750年」《軍隊の統制の改善》が興味深かっったです。

17世紀にヨーロッパの国家が常備軍の利点を感じて整備し始めて、中世以来の傭兵や傭兵団を吸収、地球環境や経済や社会の条件の変化で増えた農村人口が農地の減少と都市への人口流入、それらも常備軍に吸収して囲い込むことで治安も改善される。

雑多な人間の集まりで統制を欠いた軍隊を、行進を含めた「教練」で統制していく。フランスのルーヴォア、ナッサウ伯マウリッツなどが行ったのは・・・かつてローマ帝国の軍隊が行っていた、常備軍の兵を遊ばせておかない統制の方法ですよね。

軍事教練、土木工事、そして百人隊を真似た550人からなる大隊の組織化。ローマ式の軍団を真似たこの組織化と教練は・・・現在、各国の軍隊はもちろん日本でも自衛隊や警察、消防だけでなく・・・小中高などの学校の体育の授業や運動部の部活に活かされているという・・・運動会や甲子園、それからオリンピックの入場行進などもその名残でしょう。

この手の学校での集団行動が嫌いな人は、ナッサウ伯マウリッツを恨んでください(^^;)


そしていま読んでいる下巻では第七章「戦争の産業化の始まり 1840-84年」が面白いです。

クリミア戦争をきっかけに小火器の大量生産の必要性を感じたイギリスが、それまでの職人集団での量産から〈アメリカ式大量生産〉(フライス盤などの自動機械による規格品の大量生産)へと舵を切り、アメリカのスプリングフィールド工廠を模したエンフィールド工廠を建造。ちょうどその頃普及し始めたライフル銃(このときはまだ前装式か)とミニエー式銃弾など量産することで、数万数十万の常備軍にライフル小銃を行き渡らせることができるようになったという。(後装式ライフルはこの時期プロイセンが注目していたものの量産は難しかった)

きっかけは1851年のロンドン万国博で、数丁の回転拳銃(同型の?)をバラしてごちゃまぜにした部品から組み合わせて組み立てるという実演をアメリカのサミュエル・コルトが見せたことだという。(ジョン・ウィックがやったみたいに?(^^;)あれはどういう・・・展示されていたものがデタラメに組み立てられていたのを、弾の口径に合わせてシリンダーとバレルを正しい組み合わせにしたのかと解釈してるんですが?)

大砲に関しては、18世紀には穿孔器械による刳り貫き式で当時大砲づくりの技術革新をもたらしたジャン・マウリッツ。

そして19世紀にベッセマーによる鋼鉄の精錬法の確立を待たねばならなかったが、イギリスのウィリアム・アームストロングが後装施条式により大砲づくりの技術も更新。砲腔にあたる中子を中心に部品を組み合わせていくことで作れる大砲の大きさの制限を緩和。

そして競争相手のホイットワースが前装施条式と新式徹甲弾で自己の優位性を主張するという・・・面白いことになってきたところです。

ホイットワース砲

特に、ホイットワースの大砲の注釈が興味深くて「前後に長い発射体に回転を与えられるように、砲腔の断面が楕円形か多角形で、それが前後軸に沿ってねじれた螺旋形になっていた」という部分。

これってフルサイズのスポンジ・ダーツに向いてると思うんですよねwマズルから射出されたダーツをSCARバレルのみで回転させるより、バレルそのものが楕円形の捻じれでダーツを回転させる方が弾道の安定と飛距離の向上に効果があるような気がします。いわゆるライフリングより向いてるんじゃないかな。スポンジ・ダーツは変形しやすいし。

スポンジ・ダーツは先端が平で前後に長いホイットワースの新式徹甲弾に似ているw


このタイプのバレルはプラスチックの成形では難しくないと思います。ただ問題はダーツがバレルに密着した状態で射出できないと意味がないので、押し出す圧力が強力でないと無理かな。

そしてローテクDIYでは難しいかもしれない・・・3Dプリンターなら簡単かな・・・

うーん、3Dプリンター欲しい(^^;)