Blog:Neutron Star

tma1のブログ 「試行錯誤」・・・私の好きな言葉です

京極夏彦「鉄鼠の檻」


京極夏彦は以前「姑獲鳥の夏」を読んだきりでした。(http://d.hatena.ne.jp/tma1/20060427#p1)続編として読む場合には2つばかり作品を飛ばしてしまったようで過去の事件に関する記述がちょっと不明なんでもったいないことをしました。


この「鉄鼠の檻」も主観を独白で語るいわゆる語り手は「姑獲鳥の夏」と同じ関口という作家なんですが、この作家自体が霊媒体質というか依代というか意識に空白を作りやすいぼーっとした人間として描かれていて作者が意図的に作る空白部分が白塗りの壁か屏風に描かれた続き絵のすっぽり抜けた空白のように読者を不安にさせるのに一役買ってます。度を過ぎればイライラしてくるんですが(^^;)そこが適度なので人気があるんでしょう。


舞台が謎の多い禅寺ということで禅宗について歴史とか基礎知識にかなりのページが割かれています。宗教とか哲学に興味の無い人にはこの部分はどう受け取られているのか興味があります。私自身は禅に深い興味を持ったことは無いので逆に今回ちょっと興味を覚えて何か読んでみようかなと思いました。(禅寺に行くのがいいのかもしれませんが、興味本位で知りたいだけで誰かを煩わすのも気が引けるし)