先日ブログでも書いた(http://d.hatena.ne.jp/tma1/20070815)三毛別羆事件で最初に著者が一般向けに出版した「慟哭の谷」(「獣害史最大の惨劇 苫前羆事件」の改題)を図書館で借りてみました。
やはり「野生の事件簿 北の動物たち」はこれのダイジェストで情報量は「慟哭の谷」の方が当然というか多いです。が、事件そのものを知るには「野生の事件簿 北の動物たち」中の該当箇所だけで十分だとも思えます。
事実と状況から推測した再現をあまり分けていないところ、一部時系列を無視して書いていて読む側にちょっとした混乱を与える特徴はどちらにもあります(^^;)
たとえばこの集落の初めの犠牲者、太田家の人たちが何故襲われたのかを、ヒグマが軒のトウモロコシを狙って来たのを窓から見かけて中の子供と婦人が大声をあげたために興奮したヒグマが窓を破って板張りの家屋に侵入したとありますが、本当に大声を上げたのか、また大声を上げなければ襲われなかったのか誰に分かるでしょうか?
むしろ既に女性を食害して味を覚えたこのヒグマが最初から建物内の婦人を狙って窓から中を窺った可能性も高いのでは?日中堂々と押し入り、窓に一番近かった子供は囲炉裏の前に座ったまま頭から首に致命傷を受けて絶命し、ヒグマはそれ以上手も触れていません。第一発見者はこの子供が囲炉裏の前に座ったまま狸寝入りをして人をからかっていると思ったほど姿勢が崩れていなかったそうです。
一方、燃える薪を投げ鉞(まさかり)で反撃したと思われる婦人の方は寝室に追い込みそこで一部食害し、なおも素手で板壁を破って逃れようとしたらしく血の手形と引っかき傷、剥がれた爪などを壁に残した婦人を侵入してきた窓の破れ目から咥え去るという行動も最初から婦人を狙っていたようにも思えてきます。
最近も北海道で鶏が120羽ヒグマにやられたというニュースがありました。被害を受けた方は役場に捕獲の要請をしたようですがこれ以上大きな被害が出ないといいですね。三毛別のヒグマも最初は軒につるされたトウモロコシを狙ってきたものが手負いにされて別の地方で人食いとなり一ヵ月後に戻ってきて大きな被害をもたらしたとみられるので、このままでは同一のヒグマによる被害が終わらない可能性もあるだろうし・・・早期の解決を願っています。