Blog:Neutron Star

tma1のブログ 「試行錯誤」・・・私の好きな言葉です

白鯨 グーテンベルク21版

上巻読了しました。「2003年4月20日 Ver2」という版だったんですが、次のような問題点がありました。

7% 「哲学者の用いた強いが必要だ。」原典(原書)では「強い」の後に続く単語decoctionが存在する。
8% 「イシュミュル」固有名詞表記不統一
9% 「ものすごい行為のさい中なのた。」−>だ
47% 「まだ暑く乾ききったを夏を三十回見てきた」−>「を」が余分
69% 「【ダグー】[びあがって]」−>[跳びあがって]か?springing
73% 「使者に対する」−>「死者に対する」

最後の「死者」を「使者」とするワープロの誤変換っぽい誤り、今まで気付かれなかったはずはないと思うんですが・・・出版社が更新してくれないんですかねぇ?


ところで、翻訳で中国人水夫のセリフを「○○よろし」とマンガやアニメでありがちな口調にしていたので原文はどうなっているのかと思ったら、ただ動詞や名詞を時制を無視してカンマで区切りながら見た目にもたどたどしい感じに書いてあって、インディアンや未開人の喋り方と同等なことが分かりました。訳者が気を利かせて工夫したということでしょうか。


実際、在日中国人で「○○よろし」なんて言う人いるorいたんですかね?この口調の起源はなんなんでしょう?w


そして下巻の5%辺りで出てくる大イカに関して、「ポントポダン僧正の言う大クラーケン海坊主」で「海坊主」という表現が気になりまして・・・日本には海坊主という妖怪がいますが、西洋では「海の僧正」という怪物がいるのでその辺が混同されていないかとか気になって原文を見たんですが、「the great Kraken of Bishop Pontoppodan」となってました。このポントポダン僧正というのはネットで調べるとErik Pontoppidanのことだそうで、Pontoppodanとはメルヴィルが間違っているのか当時はそう紹介されていたのか、「ノルウェー博物誌」でクラーケンについて記しているそうです。(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%82%B1%E3%83%B3)ところで、ポントピダン、wikiによれば18世紀デンマークのベルゲンの司教ということが書かれてますが、ベルゲンってノルウェーですけど18世紀にはデンマーク領だったということなんでしょうか?それともポントピダンの出身がデンマークなんでしょうかねぇ?


英語版wikihttp://en.wikipedia.org/wiki/Erik_Pontoppidan)を見るとデンマーク人のようです。


で、「海坊主」は訳として余計かもしれませんねぇ。クラーケンって何だ?と思う一般人に妖怪のようなものだと漠然と理解させるための工夫だとは思いますけど。