読了しました。非常に面白かったです。感動があります。
時代小説はほとんど読んだことはないですがディテールの丹念な積み重ねにリアリティを感じます。それにマルドゥック・シティの創造者が描いたにしては実に陽性の作品で(^^;)善良で誠実な人間ばかり出てきます。
人の人生観、世界観というのはその人の経験に基づくもので幸福な人は生涯を通じて明るい世界のみを見たまま一生を終えることもできるでしょう。まぁこれはそういう人達を描いたものです。
主人公は穏やかな人柄の学者・・・と言っていいと思うんですが「マルドゥック・スクランブル」のカジノでのバロットのように自己の全存在を賭けた勝負に挑む人間でもあります。
保科正之、興味をそそられる人物でした。ちょっと調べてみようかな。戦国時代ばかりが日本史じゃないんですよ。
岡田准一主演で映画化されるということで、イメージしながら読んで見ました。これまでの岡田准一からだと主人公に比して尖すぎる印象があります。どうなりますか。
そして保科正之、水戸光圀の配役がどうなるのかちょっと楽しみなんですけど。
ちょっと気になったのは・・・授時暦の正確さについて・・・現代日本人のほとんどが江戸時代の学問が合理的だったとは思ってないんじゃないか?と・・・なので劇中で非常に重要な「授時暦が正しいか正しくないか」が当時の主人公たちにとってどれだけ重要だったか視聴者に伝わらないと、主人公たちに与える衝撃と物語の魅力が半減してしまうんじゃないかとちょっと心配してます。
それにしても冲方丁、成長してますね。ラノベ・デビューの作家とは思えない成熟・進化ぶりです。「マルドゥック・アノニマス」も含めてこれからの作品が楽しみです。
- 作者: 冲方丁
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2009/12/01
- メディア: 単行本
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