Blog:Neutron Star

tma1のブログ 「試行錯誤」・・・私の好きな言葉です

泉鏡花 「国貞えがく」他

「国貞えがく」


主人公が子どもの頃、貧しくて教科書を買うのに母の形見である歌川国貞の錦絵200枚を金に換えたが忘れられず、成人してから知人の許に取り戻しに行くという話。


文中にその錦絵をひな祭りなどで飾った(または見た)という箇所でふと思い出したのが、NHKクローズアップ現代 No_2024 '家の宝'をどう守る 中越地震の波紋」。あの中で新潟県中越地方の珍しい風習としてひな祭りあるいは端午の節句に半紙かなにかの小片で古い錦絵を何枚もつなげたものをいくつも鴨居などから吊り下げて祝うというのが紹介されていました。


泉鏡花の出身地は石川県のはずなので、そういう風習は古くはあちこちにあったのかそれとも近畿、中部地方のものなんでしょうね。


新潟県中越地方では地震によって蔵に被害を受けた旧家が多く、収蔵されたものをちゃんと保存するには費用をかけて蔵を修理しなければならず、それよりも古物商などに放出してしまった方が都合が良いということで地震の後古美術、古民具が大量に出回ったそうです。

「海城発電」


赤十字社の看護員が主人公のこの作品、読んだ時はぴんと来なかったんですが、今日のNHK「その時、歴史が動いた」「第220回 傷ついた戦場の兵士を救え 〜佐野常民 日本初の国際人道支援〜」を見て悟りました。


http://www.nhk.or.jp/sonotoki/sonotoki_syokai.html#03


日清戦争での日本の赤十字社の看護員の活動をイギリス人が賞賛し世界に知らしめましたが、泉鏡花はこの変型を「海城発電」でやったのだと。


「海城発電」では賞賛ではなくて、赤十字社看護員と比した日本陸軍の非道な行いの告発でしたが・・・これって当時はどう受け止められたんでしょう?日清戦争とは作品成立の時期がずれてはいると思うんですが、それでも・・・ねぇ。