読了しました。
太平洋戦争は日露戦争と比べて経過をたどるほどに憂鬱になってきますねぇ。結果として負け戦だったのだから後になるほど悲惨なのだから当然なのかも知れませんが、負け戦の戦い方、敗戦の受け入れ方、それは選択のしようがあったと思うのですがそれが酷い。
本シリーズは日清戦争、日露戦争と見てきてもいわゆる「失敗の本質」系の本ではなかったし、本書「海戦からみた太平洋戦争」も日露戦争後の戦争計画から扱っているんですが結局、生じた結果の原因には言及せざるを得なくて海軍の無謀な拡大侵略には呆れますが、防御線を先へ先へと伸ばしていく心理は一言で言えば「不安」だったんでしょうかねぇ。しかし本当に大いなる無駄でした。
本書が日本海軍の敗北を決定づけた戦いとして取り上げたマリアナ沖海戦、レイテ沖海戦ですが、マリアナ沖海戦に関しては特に失策もなかったように見えますが、もうとにかくレーダー、VT信管、CICなどハードとシステムの優劣が付き過ぎて勝ちようがなかったのかも。あえて言えば攻撃隊をもっと一度の攻撃に集中運用して米軍が迎撃しきれないほどであれば違った結果もあったのかも知れませんが。
レイテの栗田艦隊の突入中止に関しては・・・もしかしたら本当に、もう上陸済みで空かもしれない輸送艦相手に連合艦隊の最後の精髄が刺し違えてすり潰されるなど耐え難かったのかもしれません。まぁこの頃の戦況となると米軍の優勢は覆せるわけもなくすべてが無駄な戦いに見えてきてしまうので突入中止の判断の是非もどうでもよく思えてしまいますが。
太平洋戦争、戦い方が全面的に特攻に頼るようになってしまう前に終戦にできなかったこと、それは私には負け戦の戦い方、敗け方がよろしくないと思えるわけです。
- 作者: 戸高一成
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2011/11/10
- メディア: 新書
- この商品を含むブログ (3件) を見る