Blog:Neutron Star

tma1のブログ 「試行錯誤」・・・私の好きな言葉です

夏目漱石「虞美人草」

最近、携帯での読書は夏目漱石魯迅をごっちゃにして読んでます。つい最近読了したのが「虞美人草」。

「坊ちゃん」や「永日小品」「硝子戸の中」などには見られなかった情景描写の独特の難解さは漱石の漢文の素養のせいでしょうか?話自体は昼メロドラマの元祖のような三角関係四角関係入り乱れたものでしたが。

結末に釈然としないのは、「坊ちゃん」もそうなんですけど日本の明治以降の文明開化と言った場合の漱石の「文明」批判、「文明」論に今の私が共感できないのと、これじゃ藤尾がちょっと哀れだと感じるせいでしょう。向上心というより野心と今で言うセレブの価値観から来る傲慢のせいで死なねばならないほどか?と。

今読んでるのは「彼岸過迄」。就職浪人、ニートが主人公です。それなりの地位を得ようと就職活動しながらもどこかノンビリした雰囲気が伝わってきます。状況が現在と似ているようでいながら、当時は今のように一度失敗したら終わりという閉塞した感じは無いような・・・それに中国大陸、満州などが一攫千金もありうる浪漫的(ロマンチック)な響きを帯びて語られる場所とみなされていて、ちょっと羨ましいような。