- 作者: 京極夏彦
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1998/09/14
- メディア: 文庫
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京極夏彦の作品を読むのは初めてです。以前「怪 七人みさき」のビデオを見ましたが、断片的にしか覚えていません(^^;)
面白かった。久しぶりに味わった夢野久作の「ドグラマグラ」のような脳髄の地獄の感覚。小松和彦の「憑霊信仰論」は単行本が出たときに買って読みましたし、その後「怪異の民俗学」も全巻買ったりしたので京極堂の憑き物について経済と絡めた説は馴染み深いものでしたが、本能との乖離が大きくなってしまったので人間は怪異を体験するし、その必要があるというのはなるほどと思いました。
ラストに近い頃にふと思いついたのですが、私はこの本をミステリーだとは全く思わないで借りたし、読んでいても最後までいわゆる本格ミステリーとは感じませんでした。横溝正史など見かけは伝奇物を装いつつ結局はどろどろした人間ドラマなどとは違う、怪異譚として読んでいました。
読み終わってみると、事件自体は横溝正史作品とそう変わらないものでしたが、他人の記憶が見える探偵や陰陽道という要素を無視してもやはりそこに本物の怪異、憑き物や姑獲鳥という妖怪が描かれていたという感触を得ました。それはもしかしたら心理学や民俗学から人間の想像の産物として怪異を理解したいという私の願望に合致していたからかもしれません。
妖怪をラブクラフトの邪神のように人間とは別に存在する生物と捉えたい人には、この作品で描かれた怪異はまがい物に感じられるかもしれませんね。
- 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
- 発売日: 2005/11/25
- メディア: DVD
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