Blog:Neutron Star

tma1のブログ 「試行錯誤」・・・私の好きな言葉です

地球ふしぎ大自然「東京湾にタコが踊る 吸盤のびっくり活用術」


 タコ、イカは見かけは気色悪いけど見ていて飽きない生き物ですね。


「生きもの地球紀行」のコウイカの回、「地球ふしぎ大自然」のコウモリダコ、ヒョウモンダコそして今回のマダコの回などはいずれもお気に入りです。


 タコは周囲の色や突起物に合わせて体の色や皮膚の表面の凹凸を変化させます。また、今回の解説によればタコの足は脳からの指令をさらに分担して独自に制御する神経系があるとか。私が知りたいと思うのは、タコが擬態をするとき、また多くの足を使ってひとつの作業をするとき意識はどのようなものなのか?です。


 たとえば、われわれ人間の特に成人は身体に外傷や損傷がない限り目の前のコップを右手に取るときに、そのいちいちの運動制御を意識せずに行います。実際には手を届かせる必要な距離を動かすためにコップの3次元的な位置を意識し、複数の関節からなる腕手指を動かすために筋肉や腱を働かせていますがそんなことをイメージすることなく行います。


 これだけでも十分複雑ですが、タコが行っているさらに複雑な運動を人間が少しでも真似しようとすれば、その運動の組み立てを意識しないわけにはいかないと思います。簡単に言えば、綾取りもしくはラジオ体操は無意識にはできないはずです。熟練や慣れによって省力化や自動化、無意識というより無自覚の運動にすることは可能かもしれませんが・・・


 擬態するときのタコの体表の変化というのは自動的、不随意的なんでしょうか?タコ、イカが興奮するときめまぐるしく色が変わるのは不随意的なんだろうとは思いますが・・・


 私にはタコが擬態をはじめる時、意識を集中しているように見えました(笑)


 確かカメレオンの擬態はほぼ自動的だったように記憶していますが・・・もしもタコが意識的に体表面を変化させたり、多くの足を操っているならそれは我々が体操をするときのように自分の運動のイメージをしているのか、それとも単に目的意識をもつだけで自動的に行えるのか・・・イメージを持つとしたらどんなイメージなのか・・・興味は尽きません。


 メルロ・ポンティの「知覚の現象学」には、腕や足を失くした人の幻肢という現象の考察がありますが、タコの体表変化もそれに劣らず面白いと思います。が、何せ相手がタコですから話を聞くわけにもいかないし・・・メカニズムを調べてロボットなどで再現してみることくらいしかできそうにありませんね。


 外側からは理解できてもその内面は理解できそうにもありません。映画「ブレードランナー」に蛇のロボットというのが出てきました。その時代、動物はほとんど絶滅していて希少なのでペットはほとんど人工という・・・。

 当然、人工知能とあらかじめ組み込まれたプログラムで本物の蛇のように動くのでしょうが、思うに生き物としての蛇はあの体を使って生きるために獲物を探し、体を維持するために暑さ寒さ、湿気や乾燥、匂い、痛みや快感という刺激に反応して避けたり向かったり体を動かすので、獲物を捕食する必要の無いロボット蛇はもしも人工知能が効率的に働く自由を得たとすれば、本物の蛇のようには動かないだろうという気がします。


 これもいわゆる「身体論」なのかなと。