Blog:Neutron Star

tma1のブログ 「試行錯誤」・・・私の好きな言葉です

「日露戦争(四)」児島襄

読了しました。奉天会戦、ロシヤ軍の自壊、自滅っぷりが凄まじい(^^;)これほど司令官が最後の最後まで満足しながら敗退していくのは、ほとんどコントに近いかもw


しかも遼陽からここまでろくに戦わずに後退に後退を重ねたのは奉天で決戦を行う予定だったろうに・・・これはクロパトキン個人の失策を超えてロシヤの歴史的汚点ですねぇ。


日本軍に関しても各軍組織内の連絡の齟齬、意志の不統一などもありましたが、第三軍の乃木大将のヤケクソの猪突ぶりが・・・気持ちは分かりますが道連れにされる兵はいい迷惑。


それに対してあまりに対照的な連合艦隊の見事な勝ちっぷり。今で言えば東郷大将は「なにか持ってる」人なんでしょう。運も味方につけてる。


基本的には砲弾の違いが勝敗を分けたようですね。雑に言えばロシヤ側が徹甲弾、日本側が焼夷弾を使ったらお互いに鉄鋼艦なのに焼夷弾榴弾の性質も備えた)の方が有効だったという・・・。


それにしても先頭で33発も被弾しながら全く致命傷にならなかった旗艦「三笠」はミラクルです。タフすぎます。やっぱり東郷司令長官が「なにか持ってた」としか言いようがないですwミラクル・ヤン!・・・ではなくてミラクル・トーゴー!


軍神というなら、東郷さんの方が相応しいような気もしますが・・・そうではなくて敵をそれほど倒してないのに味方や部下を気遣って自らは倒れた広瀬中佐のような人が日本では「軍神」と呼ばれるならそれは日本人の良い所が現れているような気もします。


ロシヤ軍側で戦わずに逃げてしまった巡洋艦隊司令・・・個人的には結果が負けと解ってる無益な戦いを避けるのを良しとしたいところですが・・・ロシヤ側戦史や査問会が糾弾するように、全く戦わずに武装も兵員も損害を受けないうちに逃げたり降伏したりすることは、その国や民族の心の支えとなる名誉や威信を子々孫々未来永劫に傷つけてしまうことだというのも納得できます。


そういえば映画「300」のレオニダス、太平洋戦争の山口多聞少将など負け戦をしっかり戦う人は個人的に特に尊敬できます。


五巻も読み進めていますが、そういう意味で今読んでいるところの、ポーツマスに講和会議のためにアメリカに向かっている小村寿太郎、ウィッテは交渉が始まる前の段階としてはどっちに転んでも自国から責められる可能性があることを自覚しながら、お互いに負け戦をしっかり戦おうと臨んでいるわけでこれからの展開が気になります。