Blog:Neutron Star

tma1のブログ 「試行錯誤」・・・私の好きな言葉です

続・日本軍小失敗の研究 三野正洋 光人社NF文庫

読了しました。これはシリーズ中の他の著作と毛色が違っていて「提言」に重きを置いています。


それは過去の日本軍の小失敗を補う形のものばかりでなく現在の(執筆当時の)自衛隊への提言が多く含まれています。それは有事に対応するために強くあるために諸外国、と国内への政治的配慮を無視した?ものなので、素人の私には実現が難しそうに感じられるものもあります。


日本陸軍歩兵の防弾ベスト着用・・・攻めるばかりで守ることには物理的にも精神的にも消極的だった実情とコスト、白兵突撃を最終段階の決戦の手段としていた戦術の面(重量のせいで速度と敏捷性が犠牲になる)からも無理だったろうと。それらすべてを変えてからでないと無理だったしそれが違ったアメリカ軍には到底勝てるわけがなかったと・・・やはり思いますね。


戦国時代にも甲冑があったじゃないかと筆者は言いますが、貧しい農家の出の足軽はやはり甲冑、具足は十分に揃えてなかったろうと思います。


陸上自衛隊装甲兵員輸送車の増強・・・それが国内の治安維持に使われるのを恐れる意見など必ず出るでしょうから簡単じゃないんでしょうね。


航空自衛隊の空中給油機導入・・・現在どれだけの数が実際に配備されているのか知りませんが、たとえ侵略に使うつもりがなくても使われるだろうと恐れる周辺国の反発など考えると難しいでしょう。


海上自衛隊海上保安庁の連携強化・・・うーん、これは最近の情勢を見ても必要だとは思いますが・・・いま尖閣周辺にいるのが海上保安庁の巡視船だから現状(中国側も漁業監視船など)があるので、これが海自の軍艦だったら・・・当然、中国も軍艦を出してきますよね。


天然資源が出るからって「あんな無人島のために戦争したくない」です。


ちなみに前半の分析では、特に日本陸軍のとりわけ参謀部の無能、愚劣ぶりが際立ってます。中国大陸や南方の司令クラスには戦国大名にでもなったつもりか?と思われるほど独断専横もあったようですしね。