世界に穀物を供給するアメリカ。数十年前からいかに全世界でトウモロコシや小麦など穀物消費を増やすかの売込みが文化侵略にも似た形で浸透していった結果がこれですよ。豚や牛など家畜の生産性を高め、欧米型の肉食文化を世界中に広めたのがアメリカの農家とマネーを集めて穀物を投機の対象として魅力をより高めてきた穀物メジャーと呼ばれる商社の複合体。実に効果的な戦略だったことは分かりますが、それに乗せられて日本などは何か大事なものを失ったような気がしますね。
安いからという理由で輸入に頼って自給をやめてしまったのが直接の原因ではあるんですが、そうしなければ穀物を原料や飼料にした生産物が市場競争力を保てないという現実があったわけで、理想としては国家が総合的な保護政策をとってくれていれば良かったんでしょうけど。
色々な圧力や市場の健全化などの思惑から輸入自由化、規制緩和で安い輸入穀物が流れ込んだ結果、農家の廃業が続出。こうしている今も生産コストの高騰と市場価格の低迷で廃業の瀬戸際だという農家は増える一方。わずかに飼料用の小麦を自前で生産して牛を飼育している黒字農家が紹介されてましたが、規模を大きくするのは難しい模様。
環境にやさしい燃料といわれるバイオエタノールですが、数年前からいつかバイオエタノールが穀物の供給バランスを崩すだろうといわれてましたね。世界に普及する前に結局原料の高騰で製品価値を失ったりして(^^;)
納豆・味噌・醤油の原料などとして日本人に身近な大豆ですが、従来の主要輸入元のアメリカの農家がトウモロコシの方が儲かるとして大豆生産に応じてくれなくなったとかで、新たな供給源を求めて世界中を奔走する始末。
一方でウクライナ地方で日本向けの大豆を作ろうと乗り込んだ農家が、日本の商社が出資に乗り気でなかったため?他国の企業に農地を奪われて(地元政府から借りるらしい)この先どうなるか?(300haの予定がたったの5haで大規模農業とは言えない模様。これで収益を上げるのは難しくなる?)また、日本向けに大豆を生産する契約を結びかけていた外国資本の企業がより高値で中東や欧州向けに輸出するつもりの企業と契約してしまったりとお寒い状況も紹介されてました。
最後は・・・取りあえず、パンなどの原料の小麦の代用になりそうな米粉とか、家畜の飼料には食用米よりも安価で大量に生産できて休耕田にも作付けできる飼料米がいいんじゃない?日本人には日本の風土に適した米があるじゃない?というまとめ方でした。
ところで、最近の穀物の国際価格の相場は・・・というと急落。トウモロコシ、大豆はおそらくこの番組が作られた頃(今年前半?)の半値だそうで。夏以降景気後退が鮮明になってきた上にリーマン・ショックが重なって買い手が付かない状況の模様。このままいけば来年、これらの穀物を原料とする製品の価格にも影響が出るかもしれないとのこと。
ウクライナのLandkom社の農場、地元のマフィアを警戒して60人も武装した傭兵を雇っているらしいのに先行き不安?
http://www.landkom.net/news/land_bank_jumps_to_100400_hectares.cfm