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tma1のブログ 「試行錯誤」・・・私の好きな言葉です

キングダム・オブ・ヘブン

キングダム・オブ・ヘブン 特別編(初回限定生産)

キングダム・オブ・ヘブン 特別編(初回限定生産) [DVD]

DISCASで人気が無いんでしょうか、通常版の方は新着DVDですがすぐに借りられました。


これは、久々にハッピー・エンドで終わるハリウッドらしい史劇スペクタクル・・・というよりも、西洋時代劇と呼ばせていただきましょうか。これは明らかに史実に中世の騎士道文学をミックスさせた一種の御伽噺に思えるからです。


始まりは貴種流離譚に似て、主人公が貴族の落胤であることが分かります。そこから十字軍への参加の過程には若干無理もありますが、罪を背負い贖罪のために聖地へ向かう理由付けがなされます。


それにしても貴族でありエルサレム近くに居城を持つ殿様であり主人公に騎士道の何たるかを説く父リーアム・ニーソン、こういう役、多いですね。「バットマン ビギンズ」とか「スター・ウォーズEp1」とか。


途中難破して、出会ったサラセン人(オスマン・トルコのイスラム人)と馬を巡っての決闘。倒してみれば、そはサラセンの誉れ高き騎士なり、われは汝の下僕とならん・・・いやいや、お主を自由にして進ぜよう・・・助けた亀ならぬサラセン人の従者と思った男に道案内をさせてたどり着いたエルサレムで解放してやれば、別れ際に、友よ汝は真に人徳者なり、汝が徳高きことはサラセン、基督教両世界に広く聞こえ、やがてまだ見ぬ敵の首領にも届きましょうぞ・・・いざ、さらば・・・


ってな感じで自由にしてやったサラセン人が実はカリフ、サラディンの片腕的存在のお殿様で・・・後の負け戦の中で窮地を救われます。


こんな感じで騎士道を振り撒きながらいったいどこまでいけるのか・・・それが最後まで貫けてしまったから痛快娯楽時代劇であり、大人の御伽噺でもあるわけです。


エルサレムの攻防は圧巻。「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」を超えようという意気込みも感じられました。トレビュシェット(投石器)や攻城塔、破城槌などなど。久しぶりに「バトル・フォー・ザ・ミドルアース」やってみたくなりました。


ちなみに「バトル・フォー・ザ・ミドルアース」の続編、指輪戦争以外のミドルアースの戦いを再現できるようですが、手を広げすぎという感じが・・・マニアックすぎて日本人の単なるゲーマーには理解できない原作世界の要素が多すぎ・・・。


主役のオーランド・ブルーム、カッコイイことはカッコイイよね。でも、あれって演技しているといえるのかな?ある意味大根役者の予感が・・・。「ブラックホーク・ダウン」当時と比べてもLOTRを経たからといって別に進歩は見られないような・・・というか演技してない。存在=OKみたいな。


リドリー・スコットの史劇スペクタクルとして面白さからいったら「グラディエーター」に及ばないような。ただ、イスラムキリスト教ユダヤ教、テロをきっかけに世界を2分する宗教戦争に発展しかねない現在、すべてが等しく存在しうるキングダム・オブ・ヘブン(天の王国)の在り処を尋ねることの今日的意味はあるかも。


ところで、映画化されたら「キングダム・オブ・ヘブン」の数倍は面白くなりそうなのが塩野七生ローマ人の物語 ハンニバル戦記」。