Blog:Neutron Star

tma1のブログ 「試行錯誤」・・・私の好きな言葉です

隠し剣 鬼の爪

DVDレコーダーに録画しておいた地デジ・オンエアを見ました。「たそがれ清兵衛」「武士の一分」それから「雨あがる」も主人公は誠実な人間で武芸には秀でているのに出世はできない武士ばかり。「隠し剣 鬼の爪」もそうですね。殺陣をクライマックスにおいて、妻女やそれに準じた女性との繊細な心の交流を描くというパターンも同じ。

隠し剣 鬼の爪」では主人公が西洋式砲術を学ぶ部署(名称は何ていうんでしょうね?)に勤めていたり、火縄銃ではない後込め式小銃が出てくる一方で武士は刀で切り合うべしという古い考えの老人も出てきてその相克が面白かったりしました。

緒形拳が演じる悪家老に改革派の旧友を斬るように命じられて、何とか切腹で名誉を保つように説得にあたるも実を結ばず、結局斬り合いになった末に旧友は討手の雑兵の新式小銃にトドメを刺されてしまう・・・。

主人公は暗殺剣 鬼の爪で悪家老を殺して仇を討ちますが、昔、「必殺仕掛け人」藤枝梅安を好演した緒形拳が似たような手段で暗殺される辺りも面白いですね。

最後に自分の剣の師匠と同様に武士であることを辞めることで身分違いの百姓出の娘と結ばれることができてめでたしめでたし。

主役の永瀬正敏松たか子も良かったですが、旧友の妻を演じた高島礼子が印象に残りました。画面に出てくる時間は短かったですが、夫を助けようという姿が献身というよりも野心と計算高さで妖しく見えたし、助命嘆願のため悪家老に弄ばれ騙されたんだと訴える主人公に対して動じるでもなく謎めいた微笑の凄さに一見の価値ありというべきか。