Blog:Neutron Star

tma1のブログ 「試行錯誤」・・・私の好きな言葉です

カエサル 「内乱記」 (読了)


読み終わりましたが、塩野七生の「ローマ人の物語」のカエサルに関する著述以上に何かを得たようには思えませんでした。「ローマ人の物語」の方が人間関係を縦にたどったり、同時期に起きた歴史的事件を並列して示したりと出来事の内部にいたカエサルの記述よりも分かりやすく全体を把握できるので、一般人があえて「内乱記」そのものを読む必要は無さそうですね。ただ、訳者 国原 吉之助のあとがきは短いながら興味深かったです。


塩野七生カエサルびいきのようなのでカエサル暗殺当時、それを喜んだ人間がキケロやブルータス側以外にも相当数いたこと、その理由もうなずけるものであったことが取り上げられていなかったように思います。


要するにカエサルカエサルの側近の態度というのが議論の余地なく傲岸不遜で鼻持ちならなかったこと、それがつい「うっかり」とカエサルを「王」と呼んだ部下の些細な失敗だけではないこと・・・「ガリア戦記」「内乱記」から感じられるのと同じ精神の持ち主とは思えない変化が暗殺前のカエサルには感じられること・・・カエサルの暗殺に謎があるとしたらカエサル自身の変貌ぶりそのものが謎であることなど。


ところで文庫版の「ローマ人の物語」の方も16巻まで読み終わったのでまた1巻の「ローマは一日にしてならず(上)」に戻ってそれも読了しました。


やっぱり塩野七生カエサルびいき、というよりローマびいきですね。読んでいるとまるでローマの住人は合理的な精神の持ち主ばかりに思えてきて当時のローマに住んでみたくなります。