「「あの」ハリー・ポッター」の第5巻が売れ行き不振のようで、昨日の書き込みはちょっとタイミングが悪かったみたいですね。
本書のあとがきが2003年6月で本国で第5巻が出版された直後のようですが、その時点ですでに第5巻の評判の良くないこと、Amazonでも半額セールであること、おまけに日本でも第4巻の増刷が相当だぶついたことが書かれていました。
書店も色々と勉強して売れそうな分だけ仕入れないと・・・
ところで、本書ですが執筆者に児童文学の翻訳者なども含んでいてファンタジー文学への視点も本格的です。ありがちなビジネス書のように門外漢が書いた勘違い本とは違います。
「ハリー・ポッター」以降のネオ・ファンタジーを文学としてよりもマンガ、ゲームなど日本で成長したサブカルチャーと同質なものと捉えたときにそのビジネスモデルが分かりやすいという結論で「ポケモン」と比較されている点も面白いです。
私も「ポケモン・ストーリー」というハードカバーを興味深く読んでいたのでよく分かりました。
やや残念なのはボリューム不足。「ポケモン・ストーリー」という国産だから書けた詳しい大著と比べるのは酷かもしれませんが、もっとじっくり広く深く読みたいという物足りない感じは受けました。
特に第4章「ファンタジービジネス成功への道」はあっさりし過ぎていて、成功している事象の表層的な分析のような気が・・・もう少し深く何故?に突っ込んで欲しかったかも。たとえば没個性で類型的なキャラクター設定のメリットは、分かりやすいからまたRPGのプレイヤー・キャラ同様、没個性の方が感情移入しやすいという道具的なメリットなのか?もっと深層心理的な欲求、必要を満たす何らかのしかけになっているのではないか?とかありそうな気もするんですが・・・
この「ハリー・ポッター」が予定通り最終第7巻まで出た後でも良いので、今回の売れ行き不振も含めてもっと広く深く扱う本が出て欲しいものです。