- 作者: 田中康弘
- 出版社/メーカー: 山と渓谷社
- 発売日: 2015/06/06
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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「山怪」のような「遠野物語」風にオチもないモヤッとした不思議な伝聞は嫌いじゃないですし、私自身も子供の頃山の中の祖父母の家で、どうにも鮮やかな夢としか思えないちょっと変わった記憶がいくつかあるので、山の中で不思議な体験をしたというかそう思い込む心理は何となく理解できます。
中でも「来たのは誰だ」という話は短いけどアルジャーノン・ブラックウッドの「ウエンディゴ」に似た面白さと怖さのあるもので気に入りました。
そして、岩手県浄法寺周辺では得体のしれないものを「アモンコ」と呼ぶが、それは蒙古襲来の際の蒙古軍のことだというのがコミック「アンゴルモア」と繋がって、そういえば「アンゴルモア」ではまるで当時、対馬ですでに蒙古高句麗を「ムクリコクリ」と呼んでいたようなルビをふってありましたが、私の記憶では「ムクリコクリ」とか「モクリコクリ」あるいは「モウクリコクリ」というのはやはり蒙古襲来のときの蒙古軍高句麗軍由来の妖怪の名前だったはずでは?と。
蒙古襲来の当時の記録にすでに「ムクリコクリ」という呼び名があったのか?と。辞書には「ムクリコクリの鬼が来る」と怖いものの例えであるとあって、後世に民間伝承で「蒙古高句麗」が変化したとも受け取れるけれども、鎌倉時代末期の書物に既に「蒙古トハ異国ムクリノ事也」とwikiにもあるのでやはり当時「ムクリコクリ」という呼び名があったのでしょう。(偽書でなければ)