Blog:Neutron Star

tma1のブログ 「試行錯誤」・・・私の好きな言葉です

NHKスペシャル「決断なき原爆投下」

ヒトラーの戦い」文庫版第10巻でルーズベルトが死去、トルーマンが新大統領になった時に陸軍長官スティムソンから極秘の新型爆弾について耳打ちされたシーンがあったのが気になったせいでしょう。録画しておいたのを見ました。


半径5キロで人口稠密地を原爆投下のターゲットにすべきだと言ったのは物理学者だそうで、倫理なき科学の罪深さも感じますが、最大の効果を得るための土地の条件を述べよと言われたら適正な知識と情報を元にすれば結局は誰かが同じ結論に至るはず。


むしろ、終戦前にどうしても原爆を実地に使って見せなければ巨額の開発資金を無駄にしたとして議会から詰問されるからと原爆の投下計画を軍部主導で強引に進めた開発責任者のグローブス准将がどうみても悪者。


もしもスティムソンが反対しなければ京都が最初の原爆投下を受けていたかもしれないという話も。京都が候補の一つだったという話は聞いたことがありました。


ちなみにトルーマンが大統領になった日の夜、夫人はルーズベルトの死を嘆くばかりで夫の大統領就任に祝いの言葉もなく、故郷の母に電話してみてもやはり祝ってもらえず「俺は悪いことでもしたのか」とがっかりしたというエピソードが面白かったです。


また、トルーマンの母の名がマーサで、例の「バットマンvsスーパーマン」のブルース・ウェインの母とクラーク・ケントの養母の名前がマーサ。マーサって一昔前のアメリカ人女性には余程ポピュラーだったんですかね。今はどうなんだろ?


さて、「主に米軍兵士の多くの命を救うため、戦争終結を早めるために原爆を使用した」という説は、トルーマン政権による後付であったとしても・・・


確かに弾薬や食料が尽きても戦い続け、玉砕や自爆、自決、万歳突撃など当時としては歩兵操典に則った、あるいは美化された武士道を模倣した日本国内では英雄視されたガムシャラな・・・理不尽で非効率な戦いぶりからすればもしも本土決戦が現実化したら戦いの長期化と米軍の出血も十分予想されたでしょう・・・つまり、いわゆる天皇と国に報いる大和魂の発露としての敢闘精神というか粘り強い戦いぶりが、原爆攻撃を誘発したようなもので・・・


言ってみれば、「歩兵操典」編纂に関わり「生きて虜囚の辱めを潔しとせず」など心得を盛り込んだ東条英機の責任かもしれません。


東条英機の罪は侵略戦争の計画や指導遂行ではなく、単なる経済的な利を守る戦争を民族間の憎悪のぶつけ合い、あるいは国民間の殲滅戦に変貌させうる条件を作ってしまったことなのではないかかと・・・ふと思いました。