「婦系図」(おんなけいず)を読むのはこれが初めてです。基本的に怪異譚が好きですが、これは面白かった。予想以上に長い作品でしたが読んでいる間、傑作だと思いました。
が、クライマックスには驚いたし、単行本化にあたって泉鏡花が書き足した21行の蛇足にはさらに驚きました。この蛇足はいらないなぁ。けど、当時は必要性があったのかも・・・。
婚姻によって肥え太る資産家と一見貞淑な妻女の腐敗っぷりを暴く好漢・・・というのは多くの批判を招いたでしょう。だって婚姻によって肥え太るなんて実際、世の本道だし。玉の輿、または良家同士の縁組を望ましく思うのは当たり前。
しかし、だからこそ欲得を越えているように見える落籍(ひい)た芸者とのまっとうできなかった仲というのにロマンを感じます(^^;)