Blog:Neutron Star

tma1のブログ 「試行錯誤」・・・私の好きな言葉です

「日露戦争(二)」児島襄

読了しました。コンクリート製の堡塁の攻略に慣れていないからって、重砲、野砲の砲弾足りなすぎです。そもそも作戦のスケジュールが日清戦争当時の旅順や遼陽攻略の経験を基礎にしてしている事自体が正気とは思えないし。「正に敵を知らず己を知らず」


主に銅などの資源の不足から砲弾の生産力が対ロシア戦争を遂行するには全く足りないからすべての戦局で同じパターンに陥ってます。攻勢一日目の終わりには砲弾の残量を気にしなければならず、高地に取り憑いた歩兵が砲兵の援護がなくて進退に困って夜間の後退か白兵突撃が必要になり、これを数日繰り返したところでロシア軍が同じく弾薬や兵力の減少を退却することで回復しようとして陣地を明け渡してくれるので、占領に成功しているだけの話。


相手がもっと積極的な攻勢や死守にこだわっていたら、遼陽なんていつ攻略できたやら。確かに東からの第一軍の進撃が脅威になったのは確かで、分進合撃という戦略は正解だったといえるでしょうが、敵の戦力の研究やら兵站の考慮を疎かにしている陸軍参謀というのは双方の手駒が同一でそのコマをどう動かせばいいか考えるだけで勝てるような軍人将棋だけが得意な人種だったのではないかと。


戦場での個々人のエピソードには興味深いものもありますが全体としてはワンパターンでまたか・・・と思わせる戦い方です。


特に井口、児玉、伊地知・・・この辺りが今のところ目についた陸軍参謀部の三馬鹿大将というところでしょうか。これに田中義一も加えたいところ。