Blog:Neutron Star

tma1のブログ 「試行錯誤」・・・私の好きな言葉です

アレキサンダー


オリバー・ストーン監督だったんですね。事前の情報を全く仕入れていかなかったのでもともと過度な期待はもっていなかったのですが・・・久しぶりに楽しめない大作でした。「マスター・アンド・コマンダー」、「トロイ」など近年ちょっと不安を抱きながら観た大作は意外に楽しめるものばかりでしたが。


個人的に最近の趣味として古代・中世の戦争に興味があるので、特に戦術戦略なんかが面白く描かれているといいなと思ってたんですが・・・確かに10倍以上の敵ペルシャ帝国を敗走させたというので有名なガウガメラの戦いは前半のクライマックスに置かれていてスケールの大きさは感じました。ですが・・・何故勝てたのかは良く分からないというか・・・アレキサンダーの率いる騎兵が機動力を発揮して敵の騎兵を引き付け、一方でマケドニアの有名なファランクスが敵の主力を防波堤のように引き付けることでできた空白に、アレキサンダーが突っ込んでペルシャのダリウスに肉薄したということは描かれたのですが、何故アレキサンダーがそういう発想を抱いたのか。弓兵、歩兵、戦車、重装騎兵からなるペルシャ軍に対して、父王フィリッポスがはじめたと言われる密集隊形の重装歩兵ファランクスと騎兵+軽装歩兵を用いることで敵陣に穴を開けることができると考えることができたのはどのような過程を経た上でなのか。私などはそれを描けばすごく面白くなるだろうと思うのですが・・・。


オリバー・ストーン監督の「アレキサンダー」は父フィリッポスに恨みを抱く母オリンピアスによって父を倒し凌ぐ王となるよう、神の子だと言われて育てられたことがギリシアから遥かインドまで大遠征を行った動機のひとつとなったという解釈を含む人間アレキサンダーの描写がメインですが、さすがオリバー・ストーン監督というべきか娯楽作品としては歓迎できない「毒」がいくつも仕込まれていました。


当時、ギリシア、オリエントを問わず男色に関しては今よりもオープンであったのかもしれませんが、男同士が色目を使いあう映画というのは・・・観に来たこと自体恥ずかしく、言い訳をしたくなります(^^;)そもそもリアリズム追求型のオリバー・ストーンに監督をさせたこと自体、恐らく「ロード・オブ・ザ・リング」の成功以降「トロイ」、「キング・アーサー」と続く二匹目のドジョウ狙いで企画されただろう「アレキサンダー」を娯楽作品とはいえないドロドロしたものにさせた原因だと思いますが、プロデューサー、出資者は製作中にクレームをつけなかったんでしょうかね?


バビロンの空中庭園アレキサンドリアの大灯台、2万対25万の大合戦、半裸女の踊りとスペクタクル映画向けの要素があれば大丈夫と思ったんでしょうか?往年のハリウッド映画のような宴の踊りは3回ほどでてきましたが、私には退屈でしたねぇ。


毒といえば、アレキサンダーの母を演じたアンジェリーナ・ジョリー、怖かった(^^;)まさに妖婦。コンタクトのせいか黒目が妙に大きくて奇妙な印象を受けました。特に幼いアレキサンダーに蛇を触らせるとき。


もちろん「ヘラクレスジンギス・カン」などというB級の怪作と比べれば観るべきところは多いのですが、楽しめなくて途方にくれた感じを受けるのは似てるかも?