1-12話を見直しました。見直してみると最初から張られていた伏線も分かって楽しみ方も以前と違います。昔、教育テレビ枠で見たときは蒼猿の心理的なプレッシャーの場面が苦手だったんですが、今回は蒼猿との対峙シーンが一番楽しめました。蒼猿の動きや木彫りの面などの演出、なかなかの労作ではないかと思いますが。
「十二国記」の国と王の関係はシンプルで良いですねぇ。天意を受けた麒麟に選ばれた王が善政を施せば国が富み栄える・・・善政とは第一に民を虐げぬこと。
最近「ローマ人の物語〜悪名高き皇帝たち」の文庫版を読んでいるのですが、そこで扱われた一人目のティベリウスなどは晩年、粛清によって数十人を処分したりしたものの、国政そのものは善政と言って良く、ティベリウス統治下のローマ帝国は安定成長期だったというのに、民には嫌われました。主に堅物で倹約家だという理由で。
人間を「性善説」で扱うか「性悪説」で扱うかというのは「沈黙の艦隊」で軍備の永久放棄の是否としても論じられましたが、どちらが正しいかという普遍的な問題ではないのが困った点ですね。個々の局面や関わるそれぞれの人間という特殊性を加味して対応を変えないとどちらか一方だけで通すと結果的には悪い方に転ぶ・・・。
「十二国記」では正義と仁慈「のみ」の麒麟を補ってより現実的な対応をするために「無慈悲な」裁断を行える王との組み合わせが天意そのものだということのようですが。
「十二国記」の世界というのはその成り立ちからしてアニメ版の杉本が言うように「デタラメ」で恣意的なので、現実?世界と違って自然発生的なものではなくて、作者の作為を感じる世界です。世界成立の神話の重要アイテムが「筆」だというのですから、「十二国記」の世界を作ったのは作家なのでしょう・・・ってそりゃ当たり前に聞こえてしまいますが、つまり作中世界の創造者が作家だという設定に違いないというか・・・ややこしいなぁ(^^;)いつか世界の創造者か天帝としてその作者が現れるんじゃないかと・・・思うのですが?
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泰麒の話、気になるなぁ。原作の方では完結しているんでしょうか?アニメ版も再開して欲しいものですが。