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tma1のブログ

高山博「中世シチリア王国」

読了しました。塩野七生の「ローマ亡き後の地中海世界」の該当箇所を読んで抱いたイメージとは異なっていましたが、中世シチリア王国は面白い。

まず異なっていたのが、南イタリアサレルノ候が傭兵として呼び寄せたノルマン人達とシチリアを200人足らずの騎士と共に征服したロゲリウス1世(ルッジェーロ1世)は全く別ということ。

そもそも当時はノルマンディー周辺では新たに領地を得るのが難しく南イタリアで所領を得るノルマン人の傭兵が複数いたので後のロゲリウス1世が兄と共に南イタリアの親戚を頼る形で赴き、やがてシチリア伯となったロゲリウス1世がパレルモを拠点に200人足らずの騎士と共になるべく戦いを避け主に交渉で約20年がかりでイスラム教徒のサラセン人やベルベル人の領土を得ていきシチリア島全土を掌握して王国を作ったと。


後のフリードリヒ2世も中世シチリア王国の末裔だと思うと塩野七生の「フリードリヒ2世」も読みたくなってきましたが、とりあえず「海の都の物語」を読み始めました。

合わせて、以前録画していた放送大学の「地中海世界の歴史-古代から近世」を視聴し始めました。まだ中世シチリア王国以前のローマ帝国時代辺りまでしか見ていませんが、講師の一人が「中世シチリア王国」著者の高山博氏。

面白かったのが古代人の精神構造についての本村凌二氏の講義。古代人は神々の声を聞いていたという説があるという話。

ホメロスの「イリアス」や「ギルガメシュ叙事詩」その他古典を読んでいるとそう考えるほうが神々の声に突き動かされる英雄などの行動が理解できるというもので、私も「聖書」を読んでいた時に同じようなことを考えて、ひょっとして「私」に当たる主語の成立が近代的自意識の発達を促すと同時に神の声が聞こえなくなっていったのでは?と思ったことがあって伊藤計劃原作のアニメ「ハーモニー」を見たときの感想でちょっと書いたことがありますが(https://tma1.hatenablog.com/entry/20170206/p2)・・・

その合理的な説明として、論理的な思考を司る左脳が言語を操ることによって発達すると共に直感的な判断や思考を司る右脳の働きが弱くなり、結果として神々の声を聞かなくなっていったのではないか?という説。

伊藤計劃の「ハーモニー」もこういった学説に着想を得たのかも知れないなぁと。

まぁ左脳右脳の説も確実かどうか分かりませんが、そういう面白い説もあったということです。