Blog:Neutron Star

tma1のブログ 「試行錯誤」・・・私の好きな言葉です

「日本の原爆 その開発と挫折の道程」 保阪正康

読了しました。日本で原子爆弾は結局完成しなかったし、原料になるウラン鉱石が国内や戦時中の占領地でほとんど取れなかったので研究開発もアメリカの足元にも及ばなかったので興味を抱かない人も多いかも。


でも陸軍側の原爆製造を主導していたのが今話題の?理化学研究所内の研究室だったとしたら?


この本をkoboで買ったのは1000円引きクーポンの使い道として手頃な値段1200円だったからでしたが(^^;)理化学研究所の名前が出てきて俄然興味が湧いてきましたw


ところが基本、私はオタクですから(^^;)読んでいるうちに連想されたのがまず「ゴジラ(1954年版)」「閃光のナイトレイド」でした。


確か「閃光のナイトレイド」には日本人側で原爆製造に関わった人格に問題がありそうなマッド・サイエンティストっぽい登場人物がいたのを覚えていたので、あれはもしかしたら理研の人間かも?と思ってwikiを見たらやはりそうでした。


理化学研究所仁科芳雄博士が率いる「ニ号研究」(カタカナのニ)、京都帝国大学の荒勝文策教授の「F号研究」それぞれ陸軍、海軍の委嘱を受けたグループでありながら、やはりというか陸軍がより強圧的な要求をしているせいで話のネタには向いていますね。


閃光のナイトレイド」も「THE UNLIMITED 兵部京介」それから「鉄人28号」も旧日本陸軍の秘密兵器研究じゃなかったでしたっけ?w具体的には陸軍兵器行政本部なのかな?


戦時研究という大義名分があれば、部下や教え子などの若手研究者の出征を免れさせることもできたし潤沢な資金を自分自身の研究に費やすことができた・・・ことから戦後しばらく経ってから(昭和26年)の科学者へのアンケートで過去数十年で、学問の自由が最も実現していたのは、戦時中であったとの回答が多かった、などと聞くと日本のマッド・サイエンティストを描くにはやっぱり戦時中、戦後直後が向いてるなぁと。


それで「ゴジラ」の芹沢博士と実在の日本の、兵器製造に関わった学者たち、それとアメリカの原水爆製造に関わった学者たちの倫理観を比較してみたら面白かろう?とか思ったりして・・・


初めて知って意外に思ったのが、世界初の実用化原子炉が発電のためではなく原爆製造のためのものでその後イギリスが原子炉を発電用に試したんだということ。


この本は内容は良かったんですけど、「ゴジラ」に全く触れてないんですよねぇ。ちょっと残念wそれと価格が・・・まだ文庫本化されてないから1200円もするのかな?2012年刊なのに?ちょっと高いですよねぇ。

ゴジラとマッド・サイエンティスト

そういえばNHKアーカイブスゴジラのメッセージ」見ました。「プロジェクトX」の「ゴジラ」の回とコメンテーターのコメント、その他資料映像でした。コメンテーターの一人が、「ゴジラ」の中の民話と結びつけてゴジラ=荒ぶる神、芹沢博士=自らの命と引き換えに荒ぶる神を鎮める者にも見えると言ってまして、なるほどなと。(みうらじゅんは正直要らなかったw)


兵器として使われたら原水爆に匹敵するような大量破壊兵器になりうる「オキシジェン・デストロイヤー」を発明してしまったという後悔と兵器転用の予感からか芹沢博士はゴジラを倒すと共に自決することでその発明を闇に葬ってしまうわけですが、その研究開発の途上では、マンハッタン計画の研究者、日本の原子核物理学者、そして芹沢博士共に机上の理論の成果を実際に目にしたいという熱望は共通のものだったはず。


日本の原子核物理学者たちは原爆製造には至らず、アメリカの原爆投下によって日米の技術進歩の格差に衝撃を受け(私個人としては広島、長崎の惨状に心を痛めたというよりも先を越された、それも相当先を越されたという衝撃だったじゃないかとちょっと悪意混じりに邪推してしまうんですが(^^;))、マンハッタン計画の研究者たちは予想以上の破壊力に人類滅亡の可能性を感じて慄いた・・・一方、芹沢博士は自分自身とともに消し去ったということですね。


ナチス・ドイツが原爆を手にすることへの恐怖からアインシュタインを筆頭に学者たちがアメリカ政府に原爆製造に全力で取り組むことを提言したそうですが、後にアインシュタインラッセル=アインシュタイン宣言として核兵器の不拡散と廃絶を訴えることになります。


加害者にならずに済んだ日本の原爆製造関連の学者たちは戦後、GHQから核燃料抽出に関わる研究だけでなく基礎研究も含めた原子力関連の研究を禁じられた後、アメリカ管理の原子力行政には直接関わらず、学問の塔に閉じこもるかかえって批判者として振る舞ったようです。


そういえば・・・日本国内でウラン鉱石を集めようとした陸軍兵器行政本部第八研究所は福島県石川町で敗戦の日にもウラン鉱石採取に学生を手伝わせていたそうです。円谷英二福島県出身なんですよねぇ。福島原発事故も合わせて因縁めいたものを感じます。


それと・・・ドリームキャストのゲーム「ゴジラ・ジェネレーションズ」のジャイアント芹沢博士www私もこのゲーム買いましたが、ジャイアント芹沢博士なんて隠しキャラがあったなんて今日初めて知りました(^^;)あまりにつまらないゲームだったんで最後までやらなかったんだと思いますけど。
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