Blog:Neutron Star

tma1のブログ 「試行錯誤」・・・私の好きな言葉です

「大航海時代」森村宗冬

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読了しました。なかなか面白かったです。特にパナマ地峡を横断して西欧人で初めて太平洋を発見(望見)したと記録に残っているバルボアが気に入りました。


バルボアは植民地の総督達を追い出して指揮官として植民隊をまとめ、現地民とも同盟関係を結んで当時のスペイン人としては珍しく原住民を殺戮するのではなく協力を引き出すことで探検を進め黄金と香料という富への道を見つけようとしたというのが、まず良いですね。


ところが放逐した総督組の残党がスペイン本国から正当な権利を主張してバルボアとは路線の違う原住民に対して強硬姿勢をとる新総督と組んで舞い戻ってきたせいで、バルボアは実権を失い協力してくれていた原住民は惨殺され、バルボア自身も騙し討で反逆者として捕らえられて処刑されてしまうという、映画か何かで見たような鬱展開に。


この本に触発されて「大航海時代叢書第1巻 航海の記録」買いました。コロンブスヴァスコ・ダ・ガマアメリゴ・ベスプッチ、マゼランそしてバルボアの解説と記録。バルボアに関する部分は非常に少なくて短い書簡が2通だけなんですけど、レオンシコという名の現地産(プエルト・リコ)の猛犬を従えていて、この犬が獰猛かつ賢くてスペイン人司令官たちと同じ報酬を金で得ていたということを知りました。

大航海時代叢書〈第I期 1〉航海の記録

大航海時代叢書〈第I期 1〉航海の記録

新総督とはすぐに衝突したわけでも無いものの冷戦状態だったようですが、この犬がどういう経緯かバルボアから新総督に貸し出されていたものの何者かに毒殺されてしまったというんですね。実に分かりやすい(^^;)


ところで「大航海時代電子書籍版にはいくつか問題があって、フォントの大きさをいじらないと節が重なったり表示の順番が飛んでしまったりする箇所があります。決まった大きさなら良いというわけでもなさそうで、第一章でその問題を回避するためにフォントの大きさを変えて読み進めていたのに第7章でまた同じ問題が生じたりしました。


また地図やイラストが多い方なのですが、このイラストが問題。情景の想像図ならまだ良いんですが、肖像が実にいい加減。例えば上のバルボアの肖像ですが、「大航海時代叢書第1巻 航海の記録」のバルボアの肖像と比べると構図は似ているのに甲冑や兜のデザイン、形状が妙なふうに変えられてるし顔が違う。そして多くの肖像がこんな感じで顔がどれもほぼ同じ・・・こんなデタラメなオリジナルイラストなら不要ですよ。害悪だ。参考元の肖像画をそのまま載せれば本としての価値も格も上がるのに、おかしな改変をするイラストのせいで台無しです。この要らないイラストのせいでファイルサイズもムダに大きくなってますし。


誤字は誤変換やタイプミスのレベルで幾つか気が付きました。


・目次の「当方」->「東方」
・「アマルダ」->「アルマダ
・「オメルカ」->「オルメカ」
・「エンジェルフォース」->「エンジェルフォール」w
・「接近線」->「接近戦」

内容的には大航海時代に関する入門書としてはかなり良いと思うんで、問題点を改良した改訂版が出ると良いと思います。あとシステムメニューから参照できる目次が無いのがちょっと不便です。本文の章や節の一部にはハイパーリンクがあってそこから目次に飛べるので目次を作る意図はあったはず。本文の構造の問題もあるので電子書籍としての構造が正常ではないのではないかと思われます。